最高裁が初判断!「信託は30年間やめられない」は本当に有効なのか?
民事信託の実務に携わる専門家にとって、非常に重要な最高裁決定が出ました。
令和8年6月17日、最高裁は初めて「信託終了権排除条項」の有効性について判断を示しました。
これまで実務では、
「信託期間中は解除できない」
「受託者の承諾がない限り終了できない」
という条項を設けるケースも少なくありませんでした。
しかし、最高裁は明確に次のように判断しました。
「契約書に書いてあるから有効」ではない。
解除禁止条項が有効となるためには、
『信託の目的の達成のために合理的に必要であること』
が求められると判示したのです。
【この判例が実務へ与える影響】
今回の判例で重要なのは、
『「契約自由の原則」よりも「信託の本質」を重視した』
という点です。
最高裁は、
・受託者は本来、信託から利益を享受する立場ではないこと
・信託終了権を全面的に排除すると、受託者へ過度に権限が集中し、利益相反を招く危険があること
を強く意識しています。
つまり、
解除禁止条項=当然有効
という実務は、今後見直しが必要になる可能性があります。
【家族信託・事業承継信託で特に重要】
家族信託では、
「認知症対策だから解除できないようにしておこう」
事業承継信託では、
「株式を安定させたいから30年間解除不可」
という設計を見かけることがあります。
しかし今後は、
✔ なぜ解除を制限する必要があるのか
✔ 信託目的との関係で合理性を説明できるか
✔ 信託目的が達成された後も本当に継続が必要なのか
まで設計段階で説明できることが重要になります。
【私が最も注目したポイント】
私はこの判例から、
「信託契約は作ること」より、「なぜその設計なのかを説明できること」が重要な時代になった
と感じました。
特に、
・信託目的の設定
・受託者への権限付与
・議決権行使
・指図権
・監督人の設置
これら一つ一つについて、
『合理性』
が今後ますます問われるでしょう。
民事信託は自由度が高い制度だからこそ、設計を誤れば紛争の原因にもなります。
今回の最高裁決定は、契約書の文言だけではなく、
「信託の本質に沿った設計になっているか」
を改めて考えさせる、実務上極めて重要な判例だと考えています。
家族信託・事業承継信託に携わる先生方は、ぜひ一度、現在使用されている契約書の解除条項や信託目的を見直してみてはいかがでしょうか。

