【無料相談会で気付いた相談者の本当の気持ち】
こんばんは。司法書士の井関です。
無料相談会で気付いた相談者の本当の気持ちとは・・・
独立したばかりの頃、私は地域の公民館や商工会議所で何度も無料相談会を開催していました。
「まずは信頼を得たい」「少しでも困っている方の力になりたい」そんな思いで始めた取り組みでした。
しかし、無料相談会を続けることは決して簡単なことではございませんでした。
1時間という限られた時間の中で、一人ひとりの状況を詳しく理解し、何をどう進めればよいのかを伝えることはとても難しく、手ごたえを感じられないことが多々ありました。
「勉強になりました」「参考になりました」と言っていただいても、その後、契約に繋がらなかったり、無料だからと際限なく質問が続いたりすることもあり、正直に言えば心が折れる時もありました。
「このままでは続けられないのではないか」と悩み、葛藤する日もありました。
けれど、そんな中で気が付いたことは、多くの方が相続や家族のことについて、表には出さない不安や迷いを抱えているということでした。
「どう話せば家族が理解してくれるか分からない」
「手続きを進めたいけど、本当にこれでいいのか自信が持てない」
「一生に一度のことだからこそ、急いで決めたくない」
皆さんが心のどこかで慎重にならざるを得ない気持ちを持っていることに、私は初めて気付かされたのです。
ある日、数カ月前に相談会でお話した方が改めて訪ねてきて、こう話してくれました。
「あの時先生が、急ぐ必要はありません。家族とゆっくり話してください。と言ってくれてすごくホッとしました。その一言で不安が少し和らいだんです。」
この言葉に私はハッとさせられました。
無料相談会の価値は、目先の契約や即決を求めるのではなく、相談者が安心して前に進める力を、そっと後押しすることにあるのだと。
そして私は、これまで数多くのご相談を受ける中で、「もっと早く専門家に相談していれば…」と悔やまれる事例をたくさん見てきました。
だからこそ、不安や迷いを抱えた方が一歩を踏み出すためのきっかけとなるように、寄り添いながらその後押しをしたい。
今ではそれが、私の中で一番大切な使命だと感じています。
その日から私は、ただ制度や法的な手続きを説明するだけではなく、相談者の抱える不安や悩みに心を傾け、寄り添うことを最も大切にするようになりました。
その結果、時間をおいてから「実はその後、お願いしたいことがあるんです」とご連絡をいただくことも増えました。
無料相談会は、私にとっても相談者にとっても単なる「相談の場」ではなく、ご自身やご家族のこれからのために、「法律ときちんと向き合う大切なきっかけの場」になっていると感じています。
もし今、相続や家族のことで「誰に相談したらよいのか分からない」「急いで決めたくはないけど不安で仕方ない」という気持ちがあるなら、是非とも一度お話にいらしてください。