遺言書だけでは守れない家族の未来 ― 家族信託が選ばれる理由
遺言書があれば大丈夫、かつてはそう思われていた時代もありました。
しかし財産管理の面から考えると、実は遺言書だけでは家族の未来が守れません。
そこで今回は、遺言書だけでは守れない家族の未来をどう守るのか?なぜ家族信託が選ばれるのかを解説します。
1.なぜ「遺言書」だけでは十分ではないのか?
遺言書の限界と“生前”にできないことを事前に知っておく必要があります。「遺言書を作っておけば安心」と考える方は多いでしょう。
しかし遺言書は亡くなった後に効力を発揮するものであり、生前の財産管理や認知症対策には対応できません。
たとえば、病気や認知症によって判断能力が低下すると、銀行口座が凍結され、家族でも預金を引き出したり不動産を売却することができなくなります。
つまり、遺言書だけでは「生きている間のリスク」には備えられないのです。つまり、認知症による資産凍結リスクに備えることがもっとも大切となります。
認知症を発症すると、本人が契約行為を行えなくなるため、不動産の売却や修繕、資産の運用が事実上ストップします。介護費や医療費が必要なときに、家族が自由に資産を使えないのは大きな問題です。
このような事態を避けるために注目されているのが「家族信託」です。
2.家族信託とは?― 家族のために「今」できる生前対策
家族信託の基本的な仕組みをわかりやすく解説します。家族信託とは、財産を持つ人(委託者)が信頼できる家族(受託者)に、財産の管理や運用を託す制度です。
形式的に財産の名義を受託者に移すことで、本人が認知症になっても財産の管理を継続できる仕組みとなります。成年後見制度との違いとメリットも知っておく必要があるでしょう。
成年後見制度は裁判所の監督下で厳格に管理される一方、自由度が低く費用もかかります。これに対し家族信託は、家族の意思で柔軟に運用できる生前対策であり、家庭の事情に合わせた管理が可能です。
3.家族信託が注目される理由 ― 相続トラブルを防ぐ仕組み
相続争いを未然に防ぐ“透明性”のある管理
ができる家族信託では、契約書の中で財産の使い道や承継先を明確に定めます。これにより、兄弟間の誤解や相続トラブルを未然に防ぐことができます。
特に不動産を所有している家庭では、信託契約により、親が認知症になっても子どもがスムーズに売却や修繕を行うことができます。空き家化や固定資産税の負担といった問題を防げる点が、家族信託の大きな魅力です。
まとめ ― 家族の安心を守るために、早めの準備を
家族信託は、法的な制度であると同時に、家族の安心を守るための優しい仕組みでもあります。自分が元気なうちに準備することで、家族が困らない未来をつくることが可能です。
契約内容は家庭ごとに異なるため、司法書士や弁護士などの専門家に相談することが大切です。遺言書だけに頼らず、家族信託という新しい選択肢を知ることが、家族の未来を守る第一歩になるでしょう。
